

小田原城町芸術祭







小田原城町芸術祭は「まち歩き」と「芸術鑑賞」がリンクしていて、両方を楽しむことができる点が特徴の芸術祭です。舞台となる小田原の街中に散りばめられた10の展示会場に、アーティスト達が絵画や立体、メディア、詩、香りなど、様々な表現方法で作品が展開されました。本芸術祭の広報ツール、冊子などビジュアル全般を担当させていただきました。
デザインコンセプト
隔たり、或いはつながり
災害や戦争などによって一見すると不連続に見える小田原の街も、地図を見比べたり、注意深く街中を歩いてみると、歴史の痕跡を感じることができる地形や道、水路が多くあり、街の構造としては連続していることがわかります。キービジュアルの中心の図は、小田原城下の都市構造を示す小田原城文久図(1860年頃/江戸末期)に現代の道や鉄道路線を重ね、歴史と現代の関係性を示したものです。さらに、それらを囲うように配置した城郭の出入り口を表す「虎口(こぐち)」を模した“鉤括弧”は、時間や空間、社会的な隔たりを示すとともに、歴史と現代の関係性に焦点を合わせ、その隔たりを越えるための装置としての意味も込めています。
そして、毛細血管のように張り巡らされた現代の道や鉄道、“鉤括弧”に着色された「赤」色は、連続性を持っている小田原の街の構造と同じように、小田原で暮らす人々に脈々と続いている精神性を表現しています。
令和と江戸のレイヤーの交わり
見開きフライヤーの中面には、現代の小田原の地図と展示会場情報の一部が載っていて、その地図にトレーシングペーパーに印刷された「レイヤーマップ」を重ねることで、すべての作品会場が浮かび上がる仕組みになっています。1860年頃(江戸末期)の「小田原城文久図」を元に制作したこのレイヤーマップを地図と重ねることで、今は車も通る道だけれど元々は濠だったとか、今はない道や水路、今もほとんど変わっていない道、城との位置関係など、宿場町として最も栄えていたとされる江戸時代の痕跡を感じながら、まち歩きを楽しむことができます。令和のレイヤーに江戸のレイヤーを重ねることで、普段何気なく歩いて見える風景が少し違ったものとなり、さらにその道中にある「小田原の歴史と現代をつなぐアート」が、私たちを想像する“時の旅”へと導いてくれます。
Client
おだわら城町アートプロジェクト実行委員会
